荒削りなもの
私は今まで音楽に関するものだけでも様々な界隈を行き来していた。
それこそ昔から嵐が好きだったし、邦ロックもよく聴いている。吹奏楽をやっていることもあり吹奏楽曲も大好きだし夜な夜なクラシックを聴きながら寝床につくこともあった。もちろんディズニーやジブリなどの映画音楽にもハマった。
それでも「あなたの音楽のルーツは?」と聞かれたら“ボカロ・歌い手文化”は絶対に外せない。きっかけは2018年頃に間違えて開いてしまったアルバムのダイジェスト動画。一聴にして一見素人な彼らが作り出す今まで耳にしたこともなかった音楽に惚れてしまった。それから私は青春の多くを彼らに捧げてきた。沢山の音楽を聴き、沢山のパフォーマンスを見た。
その中でも一際心に残ったものがある。最近にはなるが、2021年の紅白歌合戦だ。こちらの界隈では「(曲順的に)オセロだったらジャニーズ」とか言われていた彼のパフォーマンスである。
圧倒された。確かに彼はこれがテレビ初歌唱であり、明らかにアウェーな空間であった。歌唱力もいわゆる“実力派”と言われる歌手には劣っていたかもしれない。(もちろん馬鹿上手かったけど!!!)しかし、ずっと死を恐れてきた彼が正に命を捧げるようにして「生きろ」と歌っているその姿に私は言葉を失った。
これまで3年半近く彼を見てきて何回かライブに足を運んだこともあったが、こんな感情になるのは初めてだった。こんなに虜になってしまうパフォーマンスはしばらくは出会うことが無いだろう。そんなことを思った。しかし、この予想は大きく外れることとなる。
私はよく風呂に入りながら音楽を聴いている。年が明けてからはただひたすらにSixTONESにゾッコンなので、スマホに取り込んだ「CITY」を聴くか「共鳴」を聴くかの2択だった。ところがその日は何となくYouTubeにあがっている曲を聴きたくなった。
そうだ!せっかくならライブ映像流しちゃおう!反響するからなんかその場にいるっぽい音響になりそうだし!!(無知)
とか思いながら開いたのがこの動画だった。
いやアホなんかな??????
今なら分かる。私は色んな意味でやってはいけないことをした。無知とは恐ろしいものである。
最初の『JAPONICA STYLE』のときには身体を洗いながら聴いていたので映像は見ていなかったし、なんならシャワー音であんまり音も聴こえていなかったのでまだ心に余裕があった。1曲目と私のシャワーが終わり、軽い自己紹介の後に始まった『IN THE STOME』。何となくサビだけ知っていて、多分好きなんだろうなと思っていた曲であった。
歌い出した瞬間それまで陽気に話してた兄ちゃん達の雰囲気はすっ飛んで行き、「やっぱこのギャップ一生慣れん」と思っていた矢先。Cメロに入り、京ジェがハモるあたりからそれまでの心の余裕は徐々になくなっていった。
「君をぉぉ…(君をぉ…)見失うことはないぃぃ……嵐の中でさえぇ……」
ジェシーと京本大我にしか作り出せない緊迫感にどんどん惹き込まれていく。
「いぇぇぇぇぃいぇええええ!!!!」
メインボーカル2人が生み出す圧倒的なハーモニー。思わず息をのむ。しかしそれだけでは終わらなかった。
「HA HA!!!!!」
この田中樹の声を皮切りに叫びながら上手に向かっていくメンバー。その姿を見た瞬間私の脳内には昨年の大晦日のあの光景が頭をよぎった。
このパフォーマンスはJr.時代にYouTube FanFestにジャニーズとして初めて出演したものだという。それを知ったとき私は合点がいった。
これで最後と全員が覚悟を決め結成した SixTONESというグループ。中々デビュー出来ずに悩んでいた最中舞い込んできた大きなチャンス。ジャニーズ初の舞台、しかもまだデビューしていないというアウェーな空間だからこそ、このチャンスを逃さないと言わんばかりに不完全ながらもまるで命をかけたようなパフォーマンス。その姿に目頭が熱くなった。こういうパフォーマンスをまさに“荒削り”と言うのだろうなとふと思った。日本語としては間違ってるかもしれないが、残念ながら私の持っているボキャブラリーの中ではこれしか思いつかない。
そう思うともしかしたら私がSixTONESにハマったきっかけでもあるFNSのRosyももしかしたら“荒削り”なものだったのかもしれない。曲も難しいし、何よりスパイダーマンという超有名映画の主題歌初披露という場。そういった裏側があったからこそ、あのFNSでのパフォーマンスはYTFFなどと並べられるようなものだと言われているのだろう。やはり“荒削り”は人を惹きつけるのだ。
デビュー3年目に入り、今SixTONESはどんどん新しい舞台に挑戦していっていると思う。私はまだまだ新参者だが、その立場からしても今彼らを応援していてすごく楽しいし、こんなに楽しめるエンターテイメントを与えてくれているSixTONESには感謝しかない。これからも大きくなって、ひとつ壁を乗り越えるときには持ち前の“荒削り”なパワーで魅力がより広く伝わっていって欲しい。
SixTONES結成7周年おめでとう。